« 三浦のカイズカゴ | トップページ | アンバサダーその1 »

2007年3月14日 (水)

焼き印

磯釣入門のころ、情緒派の一家言を持つ、うるさ型の数人の先輩たちの間で焼印が流行った。その流行った当時のほんの数年前に高田馬場の変哲もない金物屋にメジャーな名前に限るが、出来合いの焼印があったというから驚きだ。これが田舎だったら分かる。都会でそんなことがあったのか半信半疑だった。昭和40年代の中ごろ以降かな。

温泉旅館の下駄には屋号の焼印が当たり前のように押してあった。当時のお風呂屋さんの木の桶にもあったように記憶する。田舎だったら、やはりその家の屋号の焼印が下駄や木製に道具すべてに押されていたのだろう。そういうのを見た記憶はある。

明るい戦後の民主主義の時代の子供だったから、そういう田舎の当たり前の焼印というのは身近なものではなく、新鮮なものだった。そしてそんな焼印は東京ではまるで見られない時代で、先輩が入手したと聞いて自分も欲しいと思った。実は簡単で判こ屋さんに誂えで注文すると専門業者に通してすぐに作ってくれたのだ。今ではどうだろうか。需要はほとんどないと思う。

焼印を押した焦げ目は実に存在感がある。とてもけなげに実直に自らを見るものに訴える。まさにそういう役割が焼印なのだ。名前か屋号だが、きっぱりと知らしめる。達筆に人が筆と墨で名前を書くのは格調があって、恐れ入りましたとなるのだが、かな釘流の筆ではまったくもって自己消沈するのは意義がないところだろう。ところが焼印はきっぱりと清く正しいのだ。押せる道具はみんな押したい。しかしながら、木製の道具がそもそも少なくなっている。釣り道具も然り。大物竿には木製の石突きというものが付く。焼印には適当なものだ。木製餌箱は写真の通り、たいへんよろしい。

Img_0646_edited1 Img_0648_edited1 Img_0649_edited1

これは角判だが、丸に一字の阿が入った焼印をその後入手した。なんと出来合いであった。子供が小さい頃に、夏の館山の旅行。土地のお祭りがあったのでみんなで夜店をぶらついた。都会の夜店と同じだが、田舎の夜店もあった。なんだか家庭の実用品も売っている。砥石とか、包丁とか、ざるとか。ベニヤ板に穴をたくさん開けて焼印を刺している。握りの木は買ったら、叩き込んで付けてくれた。いやー、こんなもの売っているのか、いいぞ、いいぞ、でもやはり田舎だな、需要はあるのだなと感心したものだった。

下駄に押したのはずっと昔だ。新しい下駄でも買って、焼印するかな。お祭りで神酒所の世話人やっていて雪駄だけど、下駄にしようかな。

|

« 三浦のカイズカゴ | トップページ | アンバサダーその1 »

古い道具」カテゴリの記事

磯釣」カテゴリの記事

コメント

たまたま、焼印でネットを検索したら、出るわ出るわ、いくらでもまでいかないが、かなりあった。簡単に注文できる。おせんべいに押すのは要らないけど、たまごやきに押す焼印というのもある。オリジナルのお弁当にぴったりだな。小さいサイズの竹竿用も簡単だ。自作が何本かあるから、プロと同様に押せるわけだ。雅号はすでにあるんだけど。潮風で。ははは。雅号が先走って実質が追いつかない。本末転倒。落款もいいね。落款を押したいがために、通信教室のユーキャンの書道コースにと考えたら、あまりの間抜けさに自分で笑う。笑止千万。間に合わない。

投稿: テツオ | 2007年3月18日 (日) 05時09分

屋号てのがあるよね。カネとか桝とか丸とか亀甲に入っている。だいたい一字で古い商店にある。ネットの定番、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』で検索するとおもしろい。ヨーロッパにもあって、家紋も検索すると、なるほど。下駄には屋号の焼印が欲しいところだな。でも旅館になっちゃうか。

投稿: テツオ | 2007年3月18日 (日) 05時25分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/120168/14255255

この記事へのトラックバック一覧です: 焼き印:

« 三浦のカイズカゴ | トップページ | アンバサダーその1 »