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2007年7月12日 (木)

沼津の竿茂

沼津竿と沼津のクロダイ釣りの情報はネットで探してもごく僅か。黒潮リールというのがあって、竹の沼津竿というのがあった。沼津竿の特徴は中通しのリール竿ということ。山田茂さんという竿師が竿茂の銘で作っていた。わたくしが磯釣り入門当時はこだわり派のベテランなら沼津竿と竿茂を知っていた。

この下のページに沼津竿と黒潮リールの写真がある。この方も情報を求めている。

http://www.f6.dion.ne.jp/~makelion/numazuchouhou.htm

他には水野裕子が手に持っている写真。

http://www.tv-osaka.co.jp/the_fishing/log_1/2004/1113.html

沼津市の物産のページにもごく僅かだが触れられている。地元沼津では著名な歴史のようだ。しかし、竿茂が亡くなって完全に途絶え、地元でも知らない人が増えているのだろう。つまり亡んだ。一瞬の輝きとして消えた。いいじゃないか、いいねえ。万物流転。滅びるものは美しい、、、、。おい、早く本題に戻せ、忙しいんだから。ごもっとも。

さて、竿茂が最盛期のころ、昭和40年代中頃だろう、なんと石鯛竿を作った。剛竿である。5本継ぎ。見事な出来で、珍しい竹竿だ。その筋の人で見た人には感心されている。見せたプロ筋からぜひ譲ってくれとお願いされたこともある。

Dsc00579

この竿は横須賀の老舗釣具店にあった。師匠が見つけて、とりあえずゲット。数年後、弟子のわたくしがコレ欲しい欲しいと子供のようにせがんだ。よし分かったと譲ってくれた。弟子だからしょうがない、太っ腹の師匠である。多分横須賀には中通し竿茂を取り寄せるだけの需要があった。三浦半島の中心という立地のそこそこの地方都市である。その筋の釣り師である程度以上のレベルならば中通し竿茂はかなり有名であったので、高価であってもけっこう売れたのではないか。で、その流通ルートに何本か作った石鯛竿が流れた。製作した本数は僅かだろうと思う。比較で芳竹の手元だが、竿茂が一回り太いことが写真でも分かる。

Dsc00582

特徴のひとつに元竿のゴマ麩入りがある。上記の中通しの写真でも元竿はゴマ麩入りである。そういう良いゴマ麩入りの淡竹の出る竹山が近くにあったはずである。この5本継ぎは黒っぽいゴマ麩の元竿に合わせて、胴塗りの透きが濃い。ほとんど焦げ茶であるのが目立つ。

Dsc00583 Dsc00584 火入れの焦げがけっこうあるのがご愛敬だ。かなり強い火入れをしている。穂先にはお約束の虫穴がある。これは実入りの古竹の証明である。ひと穴千両という言葉もあるそうだ。重さはウチの竹の石鯛竿の中で最も重い。穂先40g(11節)、穂持ち130g(6節)、3番240g(5節)、2番320g(5節)、元竿660g(7節)で合計1440gある。前項の筑水は穂先50g(5節半分グラス穂)、穂持ち120g(8節)、3番220g(8節)、2番320g(9節)、元竿550g(9節)の合計1260gである。筑水の重さを書いていなかったかも。竿茂のコケ方、テーパー元から裏まで東正三本半なみである。それぞれの竿の比較分析は長くなるので後日改めるつもり。重さだけでいうと、竿茂五本継ぎ1440g、東正三本半継ぎ1390g、東作四本継ぎ1390g、筑水五本継ぎ1260g、竿敏三本半継ぎ1200gである。

Dsc00581 新品入手の竿茂だが、元竿の握り糸巻きはナイロン単糸を撚ったものを巻いている。このスタイルは他に見たことはない。また、もっと変わっているのはリールシートの固定巻きで、なんと石鯛道糸の16号くらいをそのまま巻いている。ゲゲゲと驚く他はない。元竿の口栓にもゴマ麩入りの竹を使っている。

Dsc00580 Dsc00585 もう一つ、ラインガイドの取り付け位置だが、写真のように継ぎ口の真上であるのは変わっている。抜き差しの時に力が入りやすい。肉が薄いと破損しそうな位置であるが、便利は良い。古い石鯛竿にはだいたい尻手鐶がない。他の石鯛竿にはだいたい自分で改造して付けているがこの竿茂はまだ付けていない。あ、そうか、いままで紹介した竹の石鯛竿の尻手鐶はほとんど自分で改造したものでオリジナルではないことを付記しておく。仕舞いは写真のように四本である。

Dsc00586

ところで、竿茂の中通しを欲しいと思っていたが、こういうものを持っているとなるとランクが上がってしまうことになり、真の気違いに一歩近づく。中の下くらいだろうと最初の記事の竹竿についてで書いたが、中の中から中の上くらいになってしまうだろう。実はそうはなりたくない自制がある。普通の人が逆立ちすることになる。まだ人生の破滅者ではない。ははは。東正と滝沢の支援者であった関西の牧田さんの有名な話。竹竿が四畳半にびっしり。牧田さんをよく知る金森直治さんは、竿は立てた状態でぎゅうぎゅう詰めであると教えてくれた、と山背竜二が書いている。このネタの周辺紹介なども後日。こういう人は関東にもいらっしゃった。実は竿敏の三本継ぎの対竿。昔から対竿セットの注文はうるさかったと古い竿師がいっている。ほとんど同一の竹の素材を一対で選び、全く同じ作りで同じものを工芸品として完成させ注文主に納めたのだ。二本並べて竿を出す。節数、節位置も太さも穂先まで同じ。対竿というのはそういうレベルなのだ。ちょっとやそっとのレベルではない。以前に書いたが初代竿敏三本継ぎの対竿に接して対竿を後家さんにすることはできない、なんとかできないか悩んだというくだり。昔の釣りの世界で対竿というのは少なくない。だいたい、お金持ちでなければならない。この前提が普通の人ではクリアーできない。家庭内の波乱は遙かに超えたその先のレベル、トコトンのトンであろう。

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コメント

自己コメント
この記事の後、09年8月に竿茂クロダイ竿に関連した記事が藤沢さんのブログにアップされました。
http://www.fujisawa-tk.jp/blog.php?itemid=101#c19
それに対して、わたくしが10年7月にコメントを入れて、数回のやりとりがあります。
その後10年7月に竿茂一門の石鯛竿がアップされて、またコメントのやりとりがあります。
そして、わたくしの神津島のクチジロという記事に竿茂石鯛竿を使ったくだりがあり、
関連して
http://www.fujisawa-tk.jp/blog.php?itemid=339
のコメントがあります。竿茂の検索でいらした方はご覧ください。

投稿: 潮風 | 2010年10月23日 (土) 16時31分

義父が当時作って貰って 釣りをしていたそうです。今は私が持ってます。7本ツギですが?KUROSHIOリールはNo.50とNo.52が有ります。

投稿: マサ | 2013年6月14日 (金) 19時30分

マサさん。ありがとうございます。竿茂の中通しクロダイ竿はマボロシの竿です。まだ実物は見たことがない。ですが、沼津に竿茂ありと竹竿愛好家では著名な歴史だと思います。と思いますが、知らない人は知らない。
先日の神子元島には、竿茂5本継イシダイ剛竿を使いました。こちらは現役バリバリです。
竿茂中通しは、沼津の藤沢さんのブログに使用記があります。写真もあります。
http://www.fujisawa-tk.jp/blog.php?itemid=101#c24

投稿: テツオ | 2013年6月15日 (土) 05時44分

返事ありがとうございます。今 売買されているのでしょうか? 相場は? 好きな人に持って貰った方が、いいのではないかと、考えてますが!

投稿: マサ | 2013年6月16日 (日) 13時25分

現物がごく僅かですから、ヤフオクあたりに出れば出るくらいです。どのくらいの値が付くか。最近はほとんど見ていないので、見てきた。和竿で検索絞り込みます。一度ごらんになれば、ある程度分かります。ものすごく大量にでています。ピンキリです。出品者が高い値段を付けても売れないことがよくあります。人気の和竿はごく一部です。竿茂中通しの評価。価値はそれなり以上にあります。欲しがる人がネットオークションで探すか。あまりない。どのくらいのスタート値かも難しい。
クロシオリールはけっこう出ます。程度の良いもので、4000円から5000円。相場といってもよいくらい。
竿茂は難しくてわからない。ワタクシはどうか。値段にもよりますが、そこそこですが。マサさんにとっては、オークションを調べるのが先決でしょう。なんなら、地元沼津の磯釣クラブの人に声をかけてもよいですよ。

投稿: テツオ | 2013年6月17日 (月) 20時52分

このブログ主のハンドルネームのテツオ、または潮風です。本日なぜか、この沼津の竿茂の記事にアクセス殺到しています。なんせっ古い記事だし、どういう訳だか分かりません。どこかで竿茂が話題になっているのでしょうか。

投稿: テツオ | 2017年3月 2日 (木) 20時18分

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