ステレオリアリストその1
最も好きなステレオカメラ。とにかく素晴らしい。写真は最初期ロットの機体で、シリアルはA2523のレンズはアイレックス・パラゴン付。多分、1947年製造だと思う。その後の他のレンズ付きもいくつか使っているが、最初期ロットのパラゴンの性能、描写はものすごく良い。これがトリプレットかと驚くほど。最初期生産型の外見上の特徴は後日。
設計したのはSeton Rochwite。シートン。動物記の人と同じ名前。ロックワイトという発音で良いのかな。2000年に亡くなった。これも後日書くつもり。この人はオスカー・バルナックと同様に直感ヒラメキというかアイデアの天才ではないかと思っている。彼は1943年、プロトタイプである自分のステレオカメラで撮影したカラースライドと自分で組み立てたステレオビューアーを持って、ミルウォーキーのデイビットホワイト社に行った。同年の9ヶ月後、ホワイト社は彼を採用し、ステレオリアリストは1947年に世に出ることになる。この経営陣も偉い。彼はカメラとビューアー、またリアリストのロゴマークもデザインした。アクセサリーその他必要な小物一式のセットを作り上げなければならない。新しいシステムをゼロから作るということである。後からみたら、なーんだという、コロンブスの卵かも知れない。先入観に捉われない素晴らしいデザインと発想があり、輝いている。
特筆すべきはアンダーファインダーである。驚き、感服した。我々は既成観念に生きている。顔面で額は最も広く平坦である。鼻は最も起伏がある部位である。なぜ、鼻位置にカメラを構えなければならないのか。やってみたら分かる。もちろん、座りの良い鼻、高くて鋭い鼻。いろいろあるだろう。安定が悪い部位にカメラを押し付け、たいていは流し目か、上目使いにならざるを得ない。15年くらい前、ネットでこれを力説したのは小生である。反応はいまいちであった。リアリスト愛好家でさえ、多少の共感程度であった。そして、使いにくいという評価が少なくなかった。
左指シャッター。これは釣りのリールハンドルの左巻き、右巻き論争に通じているからおもしろい。あ、一眼レフはファインダー下位置の額ホールドができるから、興味のある人はやってごらんなさい。これを見て、小さい子を連れた母親があの人はオカシイ、近くにいってはダメ、と手を引っ張るかも知れないが、どうしてくれるんだとかいう責任は取れない。
当時のカラースライドは多分コダクロームだと思うが、初めてステレオビューアーでカラーポジペアーを見た人間の驚愕はいかほどだったのかと想像するに余りある。しかしながら当時の状況は、キーストンのカラー印刷のステレオカードはポピュラーであったはずである。品質を問わなければ、一応カラーである。これらを現在の日本の社会常識から推察するのは難しい。ライカのステレオリーで撮影したカラーステレオポジマウントをビューアーで鑑賞していた人が戦前のアメリカでどのくらいいたのか。あまりにも霧が深すぎて日本では分からない。いやアメリカでも、細い迷路の先の先の世界だから普通ではほとんど分からないだろう。ステレオリーで撮影した昔の知り合いのポジをいくつかビューアーで見たことがあるが、すばらしかった。エルマーに装着したもの。この人はバルナックの長尺マガジンカメラを首からぶらさげていたことがあるほどの有名人であった。見る人が見ると、どぎもを抜かれ、腰を抜かす。ショートエルマーにもうるさかった人である。
レンズの基線長を決定し、連動したフィルム送りの基本設計は見事にまとまっている。今現在リアリストのシステムを理解しているので、なるほどな、という程度だが、まことに感服する。ステレオカメラを使っている人であっても理解していない人はなんだ、それは、、、という程度である。知らない人はもちろんまったく知らない世界。
フィルム送りは専門書によれば、Colardeau film advanceシステムと呼ばれる。コラルドーシステムって何だ、何者だ、いったい。昔も調べたことあるが、さっぱり分からない。グーグルでも分からない。なぜコラルドーと呼ばれるのか。人の名前なのか、システムを命名したのか。フランスのリシャール社に関わるらしいことだけは専門書で推定できる。EAUはオーでフランス語ということはつたない常識でも分かる。ともあれ、リアリストのフィルム送りはfixed 10 perforationと呼ばれる。レンズの基線長は15 perforatioとなり、1フレームは5 perforation。5 perforationカメラと呼ぶこともある。
概念図は次の通り。フィルムの各フレームを1から9までとして。左駒をl、右駒をrとすると。
1・2・3・4・5・6・7・8・9・10
l @ @ r (1回目撮影、1L.4R @は空白)
l @ @ r (2回目撮影、3L.6R)
l @ @ r (3回目撮影、5L.8R)
l @ @ r (4回目撮影、7L.10R)
中2フレームの2フレームりですべて解決。改行でバラバラになっているかも知れない。最初と最後のひとつ前のフレームだけ空白となるが、すべて無駄なく、うまく送られる。これ以外の送りでは二重露光になってしまう。中1フレームの1フレーム送りの場合、1・3、次の撮影は2・4のペアだが、その次は、3・5となって、3は二重露光となってしまう。以後全部二重になる。
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