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2008年5月 1日 (木)

ハッセル達人・ステレオ写真集・その1

最近までの、入手できる日本のステレオ写真集ならば、たいていのものは見ているはずの小生が、確信を持って最高と評価できる。ステレオ写真ファンにはぜひこれを見てもらいたいと願う。「ステレオ写真作品集・立体無限」発行者・著者・前田慧(まえださとし)2008年4月21日発行。

 

ハッセルステレオ達人の前田さんはよく存じ上げている。とても素晴らしい御仁。

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書店経由や出版取次ぎがどうなるのか、いまのところ分からない。月刊「写真工業」で紹介されるらしい。入手するには発行者にメール連絡かな。いわゆる自費出版ですけど、こういう出版物を流通に通す業者があるはずですが。

ステレオ撮影はハッセル2台方式。66のポジ原版のペアで、印刷実寸ペアはタテ73ミリ、ヨコ70ミリ。左右アキが2ミリ配置。裸眼立体視がギリギリ可能な最大の大きさで基線長72ミリとしている。これ以上の基線長配置だと、多分、裸眼立体視マタワリ(股割り)修行していない人だと無理だろうと思う。マタワリの周辺についてはこのブログのどこかに何回か書いているはず。そして各作品は左ページに297ミリ210ミリの片目の普通の写真を配置して、右ページにステレオペアと解説文という構成になっている。

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作品内容は高名なプロの山岳写真家、風景写真家とほとんど差のない、いわゆるハイアマチュアというレベルで文句なしに素晴らしい。撮影技術からいうと、こういうレベルの写真マニアの方たちは多くいらっしゃる。ちょっとした撮影ポイントにはこういうおじさんたちがたくさんいることはみなさんご存知の通り。ワタクシもリアリストの他に、重い三脚と数本の交換レンズを入れたカメラバックを肩にしておじさん達のはじっこで撮影していたこともある。といっても、所詮はお手軽コースであるから、もちろん、35ミリ一眼ではない中版カメラの御仁には敬意を払わざるを得なかった。67ペンタやマミヤ中判でもナニだが、ハッセルやローライとなるとなおさらである。ハッセルが2台並んでいたら普通の写真ファンの感覚では腰を抜かす。知識と素養のある人であると、ハハン、ステレオ写真だなと、もう一段階ほど尊敬するのが普通。レンズがプラナー標準2本ではなくディスタゴン2本と分かるとまた腰を抜かす。本体のお値段を知っているが、ディスタゴンの値段も知っているからだ。

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ワタクシの義弟は写真クラブに属して、よくあることだが、たまに、夜明け前から天気予報を気にしながら、風景写真のこれぞというポイントに待機するそうだ。深夜に車で数時間かけて行くことは珍しくない。もちろん国産中版カメラである。古くはブロニカからペンタだ。そしてギャラリーを借りて写真グループ展なぞをやっている。こういうレベルは特に珍しくない。

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しかしである。前田さんの撮影地の凄さには圧倒される。いったい何回海外撮影に行っているのであろうか。ツアーでロケハンに行って再度本番撮影旅行という場合もあると書かれている。何回も何回も腰が抜けますな、まったく。ロケハンって映画、写真で基本語であったが、馴染みのない言葉になってきた。ロケーションハンティング。こういうレベルは片目の普通の写真でもアマチュアではかなり少ないはずだ。

Imgp5151 Imgp5152 さらに、そして、なんと、ハッセル2台のステレオである。絶無に近いと断言できる。アメリカ、ヨーロッパにそれぞれ2人か3人くらいはこれに似たパターンのハッセルステレオ達人がいらっしゃるかも知れないが寡聞にして知らない。ともあれ、ヨーロッパアルプスの山岳写真はただ感嘆して見るしかない。ここで、言葉を悪くして、あえて言えば、この写真はだいたい絵葉書写真じゃないかというのは簡単である。技術のあるハイアマチュアなら言いそうである。片目の普通の写真ならば、そういう言い方は、もしかしたら通用するかも知れない。でもしかし、ハッセルのステレオ風景写真を見たことのない人は絵葉書写真が質的変化をしていることが、つまりまったく別物であることが、理解できないはずである。ハッセルのディスタゴンで撮影されたステレオ写真を見たことがない人は、簡単に何かを論評してはいけない。それも、できればポジ原版のカラースライドのステレオ写真を見てからの話だ。ポジ原版というものはもう一段違うものだ。経験のない人には理解できないだろう。そのくらい凄いのだ。あきらかに印刷や紙焼きとは数段違う。いかに美術写真印刷の技術が高度になったとしても、印刷ではポジステレオビューアーの切れ味を再現できないのは残念だが仕方がない。知識と経験のないステレオファンは、この印刷のステレオ写真でも驚くだろう。

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