リアリストその3
リアリストカスタム。今回はリアリストファンのレベルにおいてもかなりマニアックの話となる。えー、またまた、いままでのはマニアックじゃないのか。そうです。カスタムのレアーアースレンズ。希土類レンズね。その筋の人たちには鳴り響いている。分解能が高く、シャープとの定評。たしかにそうでしょう。中心300本といわれている。しかし、しかし、これを知った時、なんと、まさか、ほんとかいな、、まゆつばじゃないのか、と思った。たしかズミクロンが中心280本で最高だとされているからだ。初代空気レンズのズミクロン沈胴がどうだったかな。わたくしはライカレンズのファンの最末端だから、すぐにズミクロンが出てきたわけ。もちろん分解能だけがレンズの性能ではない。だから、話半分程度にすべきなのだろう。
光学ガラスは1805年のピエールギナンが粘土ルツボで溶解に成功して天体望遠鏡で活躍した旧ガラスとその後の新ガラス、それと、1939年にコダックが白金ルツボで溶解に成功した新種ガラス。大きく3種類に分けられている。ランタン、チタン、フッ素など入れたのが戦後の新種ガラスだそうだ。カスタムのレアーアースレンズがなにかは分からない。以前から気にはしていました。普通のレベルでは情報は見つかりません。まさか蛍石はないだろ。トリウム入りの放射能ズミクロンと放射能タクマーはご存じですか。リアリストカスタムには放射能という話は聞いていない。しかし、いまさら一般的なスペックやら効能書きはこれ以上省略。そういう読者が対象だ。申し訳ない。
リアリストカスタムはいわずと知れた、リアリストのキングである。日本の中古カメラ市場にはほとんど出ない物件である。しかし、コンチュラほどではないだろう。ウォーレンサックならばよく中古カメラ店で見たが、カスタムの現物は一回も見たことがない。20年くらい前、萌えていた時代のことだ。そのころも現在でもアメリカにおいても稀少で貴重である。あちらの本場にもリアリストマニアのファンがたくさんいて、カスタムは見逃さないからだ。その萌えていた頃、NIFTYの写真フォーラム時代の知人で、わたくしも脱帽するしかないクラカメ達人が所有していた偏光フィルター付のカスタム(これは超レアーで超高価)をいじらせていただいた経験があった。昨年、EBAYで同じものを見た。 他に2.8コダックエクター付リアリストと、イロカの2.8ラピッドもお持ちの御仁。わたくしなんぞの遠く及ばない立派な御仁だった。あのころがなつかしい。まさに霊験あらたかという感じのカメラであった。妥当な相場は3.5リアリストの2倍以上が2.8リアリスト。その3倍以上がカスタムだった。3.5の6倍以上ということでそれほど間違いはないだろう。でも、ダイヤモンドカメラでぜひ買って下さいと熱心に勧められたマクロリアリストほどではない。そんなものわたくしが買えるわけがないと繰り返して逃げた。
そんな頃、日本のカメラ中古市の最盛期、珍しくアメリカで確保してきたというカスタムの出品があった。鳴り物入りという感じで予告案内状がウチに来ていた。もちろん、安くはありません。というか、えーちょっと、、、というくらい。バブリーな時代だった。ともかく軍資金を用意して、朝一番会場オープンに入ったつもりが、なんとすでに売れていた。おっとりと会場に入って、一直線に行かなかったのがいけなかった。こういう時は聖人君子のふるまいを捨てなければならない。しかし、変なマニアの人たちと一緒にはなりたくないと思っていたのだ。開店時間となるとエレベーターに殺到する者、階段をダッシュで登る者、熱気というか、殺気さえ漂っていた。
もちろん、会場前には暗い早朝からそういう変な人間たちがオープンの時間を待ち構えていた。あれを知っている人、そうそう、そうだったと遠い目をする。知らない人、いやだねーオタクってのはでチョン。時間間際になると、準備体操とウォーミングアップをしていたのを見たことがある。90年代初頭クラシックカメラのブームの時代。あんなことがあったのかと感慨ひとしお。わたくしは、その後ふっつり、もう追いかけるのをやめようと思った。悟ったと思ったのだ。
それを考えると、現在では値段と程度を問わなければ、EBAYでリアリストカスタムを落とすことができるようになった。時代の流れを感じる。だいたい、もうすでに銀塩フィルムカメラの時代じゃないでしょ。フィルムカメラの衰退スピードは加速度がついている。だから逆に、滅びるものと連帯しようという美しい理由が浮上してきた。うん、心中してもいいからね、、、といってはだますような手管になってしまう。そういうものを追いかけない、所有しない、野暮なことはやめようと決心していたのだが、気がついたら、ものすごく程度の良い、ほとんど未使用という感じのリアリストカスタム美品が手元にあった。君子豹変してしまった。いや、それはちょっと言葉の用法が違うだろっ。
ケースに入れっぱなしだったのだろうか、シャッターボタンの突起部分だけにサビが。リアリストはいろいろあるので無傷のボタンとそのうち交換すれば良い。
このカスタムは素性がはっきりしている。アイオワのミセス マーサーが前のオーナー。住所と名前が皮ケースに印字されて貼られている。フルネームと住所のラベルを撮影したけれど、そんな写真を出してはよろしくないだろうと思った。プライバシーね。
そして別に、手書きメモで
調子に乗ってきたので次は近いうちにオルデンリアリストを書こう。
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