ステレオカメラ

2009年8月20日 (木)

キンダー

Img_4346 Img_4347 ウイスコンシンのサウスミルウォーキーにあったキンダー社が1954年に発売したステレオカメラ。設計したのはステレオリアリストを作り上げたシートン・ロックワイト。生産台数が少ない。設計基本思想はリアリストとほぼ同じ。ただ、コストダウンを徹底した。たしか、99ドルで発売している。当時の他のステレオカメラというと200ドルはしないと思ったが百数十ドルのはずだ。1950年代の貨幣価値ね。どこかでアメリカの広告コピーを見たことがあったが忘れた。キンダーは故障が多いとか品質のバラツキがあるとか言われているようだが、ウチの2台は快調だ。リアリストはすべてに独特の味があり、個性的であり、それが良いのだが、キンダーはリファインされている。アンダーファインダーはリアリストと同じ思想だ。人間工学から当然の帰結である、額、おでこフォールドである。リアリストは上下像合致式の2眼ファインダー。キンダーは普通の一眼式で二重像合致式だ。シャッターチャージは巻き上げ連動の自動。セルフコッキングという。セルフコッキングって知らない、、、。昔のカメラはフィルムを巻き上げてもシャッターチャージされないのが当たり前の時代があった。え、いつごろ。だいたいライカ以前ですが戦後もかなり存在した。たとえばツアイスイコンの各種イコンタ。折りたたみ式のジャバラのカメラ。なにをいっているのか分からない。そうでしょうね。

Img_4348 Img_4349 リアリストと同じ左手シャッター。右手はより微妙なピント調節で使うべきだという思想である。迅速なピント合わせが要求されるときもある。シャッターを切るのは左手でもよろしいだろうという考えだ。右手が利き腕で、右目が利き目でない場合を想定したら、ファインダー位置がもうダメ。フォーカスノブの位置が中央だし。左利き、左利き目ではほとんど使えない。

もうひとつ、巻き戻しがレバー式となっている。バルナックライカも巻き戻しノブで、時間がかかる。これはフィルムマガジンで片道通行にするのが設計思想としては正しかったのだが、普及しなかった。リアリストの次の記事で紹介するが、外付けのクランクハンドルというものがアクセサリーとして生産されている。

肝心のレンズはドイツミュンヘンのシュタインハイルのカッサーF3.5。立派なレンズメーカーだからトリプレットのブランドレンズだが、ごく普通の性能であり、評判も同様。とくに不満はない。柔らかなおだやかな描写をする。レンズグルメ的に厳しく評価すると、もうひとつ落ちたら甘いという寸前、という私感を持っている。シャッタースピードは200まである。だが、スローシャッターが10分の1以下はない。三脚立ててスローを切るなんてことは考えていない。リアリストもそうだが、普通のレンズシャッターではない。ドイツの光学産業、写真工業から見たら、なんじゃこれは、というレベルだ。リアリストもキンダーもアメリカなのだ。シンクロコンパーやプロンプターに遠く及ばない。精密機械工業なんてレベルでなくとも生産できる。それで実用上は差し支えがない。ドイツの精密工業はアメリカの軍需工業に大量生産で負けたのだ。

Img_4350 Img_4353 Img_4352 Img_4351 感心するのは、ド素人でも使えるように親切な表示があること。シャッタースピードダイアル、レンズオープニングダイアルなんて、普通のカメラはそんなこと表示していない。数値があるだけだ。高級カメラにはそのような表示はない。また、二重像合致の説明がひと目で分かるように図が刻印されている。アドバンスフィルムの矢印、リフトツーリワインド表示。フィルム装填の説明。フールセーフというのか、フェイルセーフかな。往時のドイツカメラも日本カメラも高級品だから、取説にはいろいろ書いても、カメラ本体に誰でも知っていることをわざわざ表示しない。二重露光は簡単に可能だ。

キンダーはリアリストに比べると少しだけ5ミリくらいだが小さい。かなりコンパクトに感じる。重さは相当違う。リアリストが790gでキンダーは550gだ。リアリストはずしりと来る。不必要なほど頑丈だ。

Contura シートン設計のステレオカメラはもうひとつある。有名なコンチュラ。こんなカメラを持っていたら廃人である。赤瀬川原平が「コンチュラ物語」という短編を書いているのでご存じの方もいらっしゃるだろう。たしか日本に2台とか。

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2009年5月21日 (木)

で、で、出たー、ニコンステレオレンズ

114735bb 知る人ぞ知る、幻のニコンステレオレンズ。ステレオ写真ファンの中では、この世にこれありと知られた、横綱です。キングです。わたくしは土下座して、ただただ、うへー、おそれいりましたと申し上げるしかない、とんでもない、しろものであります。ライツのステマーのさらに上を行く。その下の序列は、と考えると、マクロリアリストや、ローライドスコープなどが浮かぶ。わたくしは昔、これをいじくったことがあります。どこかに書いております。超稀少品です。

いや、EBAYに出品されていたのです。ステレオオタクというかマニアの話題であり、ほとんどの人がキョトンとするしかない。申し訳ない。お値段は。39440ドルとなっておりますです。400万円より下ですな。独逸ニュールンベルグのPhoto Arsenalというお店が出品しております。誰かが、お買い上げになるかどうか、注目しております。

114735aa

http://cgi.ebay.com/Nippon-Kogaku-3-5-3-5cm-Stereo-Nikkor-outfit_W0QQitemZ350202435100QQihZ022QQcategoryZ3323QQssPageNameZWDVWQQrdZ1QQcmdZViewItem

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2008年2月22日 (金)

セオドールブラウンの面白さ

以前に紹介したこの大先生の御本には、かなりのステレオファンでも見たことも聞いたこともないがいろいろ出てくる。すでに知っている人がいたら、偉い。ワタクシがいうのだから間違いない。この大先生は文字通りステレオ写真の歴史から埋もれて消えたが、いい先生だねえ。ワタクシは好きだ。

恐れ入りましたというのもを2つほど。チープというかエクスペンシブでないということをかなり強調しているのがブラウンの特徴である。自分でステレオパーツの事業をしていたことが影響している。

Img_2280 Img_2282 ひとつは、トランスミッター。今はビームスプリッターというのが普通。簡単なものはフィルターのように装着する単一プリズムとペンタックスステレオアダプターのようにミラーまたはプリズムで2回反射させるもの。単一プリズムは屈折させるだけで反射はない。この方式も4個のプリズム、4枚のミラーから2枚のミラーと2個のプリズムなど、細部のバリエーションがある。

Img_2281 Img_2279 ところが、レンズの前に装着するミラー2枚のスプリッターを考案し実現していたのだ。商品化した。図を見たら、なるほど、こういうのもアリだなと納得する。もちろん驚く。現代の一眼レフ用を、レンズフードを利用して表面鏡2枚で作れないことはない。しかしねえ。よほどハイテンションでないと。どういうことになるのかな、反射一回だから、、、と、2回反射は元に戻るのだから、、、、、と、何をいっているのか分かるステレオマニアの方は、お考えください。チープではある。

Img_2277 もうひとつはビューアー。こちらも驚き度は高い。こんなの考えたのかって尊敬する。リフレクトスコープという。図を見だだけでは分からない。多少の工夫がある。ステレオマニアの方、お考えください。説明を読んでなるほどと思った。実はこのミラーはturned slightly away from each otherなのだ。中央が少し出ている。つまり、右目像に左目像が入らないようにしているのだ。で、簡単に裸眼立体視できるはずである。大きなものでも小さなものでも、ミラーの距離可変で可能だろう。現物がないでのそれ以上はいえない。でも、反射像を立体視することになる。裏焼きでいいのかな。マニアの方、お考えください。面倒だから考えない。これも作って作れないことはない。むしろ簡単だ。

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萩原朔太郎のステレオ写真その2

今回もいままでに増してマニア度が高いので申し訳ない。その1から続く。

45x107乾板は密着焼きでもよいが、ポジ鑑賞が主体らしい。60x130以上が印画ステレオカードに良いと書かれている。しかし原寸印刷はなく、どれも拡大印刷されている。サンエス堂の台紙を53x127に拡大印刷したものは基線長が70ちょっとなのでワレワレは軽く平行法裸眼立体視できる。それより大きなものはビューアー必須である。ところで、密着印画のステレオカードはトキオスコーImg_2269 Img_2270 プをビューアーとして使うことでは見ることができない。印画用のステレオカードを見る別のビューアーを使ったはずである。トキオスコープのビューアー使用では明り取り用の窓がないから真っ暗で見えないはず。

次はネット上のトキオスコープの詳細な資料。これはすごい。

http://www.camerapedia.org/wiki/Tokioscope

ここには、ビューアーの宣伝が出ている。Solidoscope(ソリドスコープ)1円80銭とAdjuscope(アジャスコープ)3円50銭。こういうものがあったはずだと思っていたが、ワタクシも初めて見た。

Img_2264 Img_2265 Img_2266 ウチにはリシャールの折畳み実体鏡がある。レバーによるピント調節の具合もよく出来ていて優れものである。昔、萌えていた当時にクラカメ店で見つけた。実寸で45x105サイズがちょうど入る。補助ツールを作ればリアリスト判でも使用できる。

Img_2267 Img_2268 当時のリーディングカンパニーといってもよいパリのリシャール社は、大型から小型までビューアーは多い。秋山の本では、45x107用と思われるものは明かり取りが開いたビューアーと折畳みが2種類出ている。同じものである。

Img_2272 Img_2271 当時のステレオ乾板は45x107と60x130がほとんど。Img_2274 大型乾板のステレオカメラはすたれてきている。60x130乾板は日本では使用する人が少ないと秋山轍輔が以前に紹介した本で書いている。この本は昭和11年であるが、すでにトキオスコープは残念ながら市場から消えているとある。そうだったのか。国産のステレオカメラである曽根春翠堂のトキオスコープは1921年(大正10年)発売で、フランスのリシャール社のグリフォスコープのデッドコピーといってもよい。トキオスコープは80x105の国産手札乾板を半分にカット加工した40x105乾板を使えるようにされており、曽根春翠堂はその国産カットステレオ乾板を供給した。しかし、45x107も両用で使えたらしい。正規国際規格の輸入品は高価だったからである。ステレオ乾板の国産品がなかったのであろう。

ついでにリシャールの密着用のステレオ焼き枠が出ていた。左右入れ替え用である。Img_2273

輸入のステレオ乾板はアグファやルミエールなど数種類。昭和11年にはオートクロームの天然色乾板もあった。また、高級機ではチェンジングボックスやロールフィルムバックやカットフィルムも出てきていたはず。マニアでないと分からない方が多いでしょうが、説明省略。日本の需要と供給の関係。

ところで、朔太郎が使っていたステレオカメラははっきり分かっていないようだ。40x106のポジが遺されているということは国産のトキオスコープも使っていたことは間違いないだろう。また、フランス製ステレオカメラを使っていたことは本人や周辺の人の複数の証言がある。その当時、多分最もポピュラーであったのは1905年(明治38年)発売のグリフォスコープであろう。他のカメラと比較して、その仕様から低価格、かつ実用的だったであろうと想像できる。秋山の本の当時では40円から50円で入門用とある。昭和11年の最新鋭高級機はフォクトレンデルのステレフレクトスコープで小西六本店定価表で630円から670円。ライカといい勝負じゃないかな。これはフォクトレンデルファンなら誰でも知っている有名なカメラだが、現在こんなのを持っている人は手遅れの廃人しかいない。ローライドスコープのオーナーは如何。トキオスコープ以前の時代にポピュラーでない高価なステレオカメラが日本に輸入されたとは考えにくい。あ、そうか徳川慶喜がいたか。グリフォスコープとトキオスコープはシャッター部分を外すとレンズだけが残り、ビューアーとして使えるのが特徴だが、その場合は構造上ポジしか使えない。つまり印画のステレオカードは見ることができない。ウチにあるようなスタイルの単独ビューアーで朔太郎は印画ステレオカードを見たのだ。

そしてもうひとつ、現存する最古のステレオプリントは明治36年5月撮影とある。朔太郎18歳で1903年。そうすると1903年のベラスコープは、当時のレア商品の輸入環境では無理がある。1894年の初代ベラスコープはたしか60x130じゃなかったかな。60x130の乾板は一つも残っていないので朔太郎は使っていないことはほぼ確実。となると、グリフォスコープではないフランス製のステレオカメラを使っていたのか。面倒だからもう探索はやめた。

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2008年2月10日 (日)

1895年のポケットステレオスコープその2

その1より続く。

Img_2243 同じくノブでミラーの角度を変えて調整できるソニーの製品がある。調べると古今書院で同じものを現在も扱っていた。3150円だった。

http://www.kokon.co.jp/

これはかなりおすすめというか優れものである。改めて調べてみると、単眼の視野は明視の距離25cmで左右は15cmくらいが見える。基線長は接眼部65ミリ、対物窓は約110ミリ。つまり平行光軸で110ミリ角が立体視できる。ミラーを最大に開くと20cm角くらいまで立体視できることが分かった。

Img_2244 Img_2245 予想外に素晴らしい。もっとも左右の歪曲は出る。右像、左像で斜め視線になるから中心に比べて周辺像が小さくなる。互いに逆の歪曲になっているが融像できないほどではない。この基線長とミラーを開いた状態の意味の解説は書けるが、マニアでも、ん、ん、というヤヤコシレベルなので省略。また、最もミラーを内側にすると、歪曲は出るが55ミリ角くらいまで可能。

他には、もっと簡易型の固定式で類似の現行品もあることを知った。凸山さんのコメントにある。

http://fieldmixture.com/

Img_2247 Img_2248 その他の簡易版は写真のようなプラ製品ものがある。これは、はっきりいって、使い物にならない。プラスティクのプリズムレンズの精度が良くない。ステレオに見えますというだけ。ステレオ本のオマケで何個もウチにあるが、収差と歪曲がヒドイ。実は、世にあるホームスベイツ式も同じ方式で外側に光軸を開くガラスの固定プリズムレンズである。多分光学ガラスだと思うが、こちらはちゃんと使い物になる。

ところで、平行法裸眼立体視では、普通は人間の平均的両眼間隔である65ミリ以下を双眼立体視するものであるから65ミリ角以上のものは難しい。普通の人は練習体得して60ミリ以下が無難。フォーマットとして66ペアが良い理由がそこにある。修行した人で70ミリからなんとか75ミリ。ワタクシは開いていくやり方だと80ミリ程度までいくが、最初から80ミリだともう少しのところでなんとしても合わない。あ、明視の距離25cmからが標準です。ともあれ、今後、パソコンディスプレイ上のステレオペアを見ることが増えるであろう。65ミリペアではやはり小さい。交差法なら大きくても可能だが、小さく見えるのが難点。交差法立体視は並行法よりも力が必要というのが定説。力というのも変だが。平行法の方が自然に見える。しかし、平行法で裸眼立体視はとても無理なステレオペアがウエブにはよくある。なにも考えていないのか、超又割り能力者なのか。交差法と間違えていると思うものもある。もっともディスプレイの解像度によって、表示の大きさはかなり違うから、そういうことなのか。古いパソコン機種ではものすごく大きな表示になっているだろう。現在のところ、1024画面で無理なのはやはり無理だろう。ウチにも解像度の高いのがあるけど、全体が平均的に小さくなってかえって見にくくなってしまうのだよね。大きいパーツを高い解像度で見るべきだが、まだ過渡期だろう。

そうか、そうだ。大きな平行法には正にマサニこのブラウンのポケットステレオスコープ方式が良いのではないかと気がついた。やっとだが、これが本題である。デジカメとパソコン時代のステレオ鑑賞はこれだ。ソニーのやつよりスマート、かな。かなり、かっこいいかも知れない。大きなペアでも多少の歪曲ありでなんとかなるのではないか。少し斜めにすればよいはず。現物で見たことがないのであくまでも想像である。作るには表面鏡を2枚、コの字形のアルミフレームを利用すれば良いかな、と考えた。分からないですか。よく考えてください。平行角度は固定されてブラウンのオリジナルより強度もあるでしょう。もちろん内側は反射消しで黒く塗る。コの字よりロの字アルミフレームの方が良いかもしれない。とにかく45度菱型に切断します。レンズフードのようなものを接眼用として取り付ける。ミラーは光量ロスが発生するのでそれなりに暗くなるのはやむをえない。そうか、光量ロスを考えると、ロスの少ない光学ガラスの直角プリズム2個で同様になるな。でもプリズムは色収差の代名詞である。色消しプリズムかあ。セットで2個だから4個組み合わせか。カタログを調べた。1セット8000円くらいの2セット。高価になるなあ、と動く前に逡巡している。まてよ、もうひとつある。それだったら最初から、ひし形プリズムだ。ロンボイドプリズム (菱形プリズム)は、像の状態を変えることなく、光軸だけを特定の距離 (変位量)だけ平行移動するもの、である。どっかにころがっていないか。なーに、探したら、なんとかメドはつくだろう。よし、ロの字フレーム方式とロンボイドプリズム方式のそろいぶみだ。え、勝手にそろいぶみしてくださいってですか。とほほ。そろいぶみできないかも。

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1895年のポケットステレオスコープその1

Img_2234_2 今回はかなりマニア度が高いので関心の薄い方には申し訳ない。え、ではいままでは高くなかったのかって、いえまあ、その、なんですな、いろいろありますよ。スクロールするか我慢してください。STEREOSCOPIC PHENOMENA OF LIGHT & SIGHTという本がある。ワタクシの直訳では、光と視覚の立体鏡現象。実は1903年にセオドールブラウンという人が書いた。ブラウンは1870年生まれのイギリスの人である。だいたい100年前のステレオ解説本である。この本は、実は1994年におなじみのREEL 3-Dによって復刻されたものである。なんと90年ぶりに復活したわけだ。どんな内容か興味があったので、そのころに、とにかく入手したのだ。現在ならそこまでの、いや、あのころの熱意はないだろうな。現在はおかげさまで平熱に近い健康人にまで回復しております。でその頃、この復刻版をなるほど、なるほどとツラツラ眺めた。読んだとすると、つたない読解力であり、おこがましいことおびただしい。

Img_2237_copy_2 この中に出てきたポケットステレオスコープというものに驚いた。ワタクシの乏しい経験では見たことも聞いたこともなかった。たとえば、昭和13年の誠文堂新光社の新修写真科学大系第7巻の秋山轍輔の双眼写真にも出ていない。左記の本はコメントしてくれて、新しくリンクに入れたバリバリ凸山さんのリストに入っていて驚いた。

Img_2238_2 ステレオカードを見ている図があるが、普通のカードは80ミリの基線長である。修行を積んでも裸眼立体視は難しい。多分、この道具の情報は世界のどこからも消えていたのだ。あるいは、ステレオスコープで見るべきであり、取るに足りない、という評価で無視され、忘れられたのか。最初から単にマイナーで、知られていなかっただけなのか。効果的ではなく、あまりかんばしくないものかも知れない。実際に使ってどうなのか想像するだけしかない。かくいう本人のワタクシも知ってから十数年そのまま封印していたのだから世話はない。

で、最近はこういうことを考えるようになった。その2に続く長文になる。大きなステレオペアーを見るには、理想的には航空写真用の反射実体鏡である。基線長は26cmから27cmでトプコンのそれは24cm角以下のペアーを実体視できる、とある。これの場合は小さいのは多分不可であろう。アサヒソノラマの、ステレオ写真の世界、には当時の価格15万円と出ている。ニコンにも同様の製品があった。ナチスドイツ空軍のこの軍用物件がオークションに出たことがあった。おお、これはすごいと入札したが、追いつかなかった。そうとうなステレオマニアでも、この物件は、欲しいけれど値段がちょっとという怪しいブツであろう。性能最高だろうが超貴重怪奇物件というべきだ。後の祭だが、実は格安だったのだ。ワタクシの熱意がなかっただけである。

Img_2241_2 Img_2242_2 類似の簡単なものはピークの小型実体鏡がある。接眼間隔が75ミリまで調節できる。4倍と2倍とがある。両方ウチにあるのだけど、片方が出てこない。三角プリズムと同様に外側に光軸を曲げて接眼間隔よりも少しだけ大きなペアーを見ることができるが、限度がある。凸レンズの周辺は三角形であり、両眼間隔65ミリの人が75ミリにレンズを開いて覘くと、その三角となる凸レンズ周辺部分を使うからである。でも、実験では65ミリで70ミリ、75ミリで80ミリしかできなかった。おかしいな、又割り使ったのと判別できないくらいだ。レンズ使って又割りができるのかできないのかよく分からない。ピークのカタログを見ると航空写真用の反射式もある。下はピークのウエブのカタログで品番の2039にピークミラーステレオビューアー。

http://www.peak.co.jp/index0.html

小型の品番は1994で立派な現行品であるようだ。その2に続く。

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2008年2月 9日 (土)

ステレオビビッド

Imgp4971 Imgp4973 日本のステレオファンには有名なカメラ。というのはステレオの伝道者の一人、赤瀬川源平がこのデザインに痺れたと書いていた影響が少なくないだろう。読んで、たしかにその通りと賛同した記憶が。このメカニック感はすごい。さらに従来のカメラにはないオリジナリティがあふれている。既成観念にとらわれない設計、デザインである。主義主張を通して、キラキラした個性派でもある。敬愛すべきであろう。この優れた設計者はゴードン・スミス。実はビューマスターパーソナルと共通したデザインである。このあたりの経緯はマニアの方ならご存知だろう。後日、最も成功したステレオシステムというべきビューマスターの時にでも触れましょう。

このカメラの特徴は少なくない。露出計じゃなくて、露出盤を組み込んで連動式としたこと。ガイドに沿って動かすと適正露出に近い値がセットされているという仕掛け。あ、日本には同じ趣向の関式サロン露出計というのがありました。最後はセノガイドというクリップオンの露出盤となり、その筋ではたいへん珍重されております。それ、よく知っている、探して持っているなんていう方は残念ながら、ビョーキです。ウチには亡父の遺品の関式サロン露出計があります。別に捜し求めたわけではありませんのでワタクシはビョーキではありません。しかしながら、これはたいへん味のある道具です。いつか後日。

それから、連動距離計のフォーカスノブというのかな、ノブじゃなくてダイアルですね、操作すると被写界深度をカニのハサミで示す仕掛けのところ。赤瀬川源平も特筆している。底面には一通りの操作手引書が印刷されている。

Imgp4975

これを書いていて、理解できる人はどうもビビッドを持っている人だけじゃないかと気がついた。ほとんど意味がなかったな。とにかく、メカメカ気分、メカオーラが溢れ漂っているカメラ。詳細の解説は不用というか持っている人でなければ理解不能ということ。

芸の細かいところを少し。実はレンズセパレーションはわざわざフィルム送りにループを作って65ミリにしていること。これはカメラの横幅を2、3ミリ程度小さくするためではなく、人間の平均的両眼間隔にする目的であろう。ループを作らなければリアリストのように70ミリ。スプロケットにくぐらせるように半周させて僅か5ミリばかりを稼いでいる。半周で5ミリゲインだから半径では。で、70ミリと65ミリの違い。このこだわりはスゴイなあと思いました。そこまでのものではない、勝手な思い込みである、ということではないと思いたい。

ファインダーには赤色の水準器が写っていますが、ここが透明のものがありました。4人くらいでビビッドを見比べたことがありました。

最初の写真を見て、このレンズフードは何だと思った方。ジャストフィットのフード。実はフィルムケースです。口径そのままで簡単に作れます。

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2008年2月 7日 (木)

ステレオリアリストその2

Imgp4955 Imgp4970 こちらは2.8レンズ付き。ごく普通の鉄鎖―タイプ。あ、テッサーの転換が入っていないのは問題である。だってエルマーよりもメジャーでしょう。どちらも、普通一般から見たらメジャーじゃないってですか。でも、現代でもオートフォーカス時代からコンパクトデジカメ時代まで、ほとんどの中級機以上のカメラにはテッサー型レンズが付いているといわれる。中程度の明るさのレンズでは最も成功したレンズ。レンズといえばテッサー。レンズの代名詞といってもよいほど。

Imgp4958 Imgp4960 リアリストの型番は3.5レンズ付が1041。2.8レンズ付が1042と呼ばれる。ジャーマニー刻印なしのタイプである。他にカスタムの1050とマクロがある。

シリアルナンバーは底位置ではなく、横位置に移っていて、左側面にある。写真にある通り読み取りにくい。なんとか読むと、012228だろう。生産台数が10万台を超え、終末に近い。それまでのA刻印がなくなり、10万を省略しているので、実は112228ということになる。総生産台数は約12万5千台といわれるので、晩期ということになる。

Imgp4961 リアリストマニアはこのあたりのことは知っているだろう。次のサイトには詳しい。15年前、いやもう少し前にこれだけの情報があったら。だいたい、暗中模索、右往左往していた。エクター付きやカスタム付きや、カスタムボディーの3.5付を持ち寄って、いじくりまわしていた頃があった。何台ものリアリストのシリアルナンバーを調べたり、乏しいながらそれまでの内外の情報もあったりして、詳しい人がいたりして教えてもらったり、おおよそ分かっていたが。で、ワタクシはその時点からほとんど進歩発展していない。当時のクラカメ市でカスタムを買い逃がしてから熱は上がらず、平熱に近くなっている。健康人に近い。野暮ではなくて、粋でなくちゃいけないなどと本人だけが思っているのだ。

http://home.att.net/~drt-3d/toys/realist/index.htm#Realist%20Camera%20Features

Imgp4957 Imgp4962 Imgp4969 リアリストその1の初期型との違いは背面左側のボタンで二重撮影防止装置が付いたこと。シャッタースピードが200分の1までになったことくらいで基本的には同じ。その1は下をクリックで飛ぶ。あ、すべての写真もクリックすると640になりますから念のため。写真が小さいという人がいたので。

http://siokaze1.cocolog-nifty.com/sakanachann/2008/01/post_26db.html

フロントカバーの美しいリアリストのロゴデザインに2.8と入って十分に自己主張していますが、気がつくのはマニアだけ。要するに同じに見える。

Imgp4980 最後はマニアでも、え、えっと感動して驚くもの。実は本国から来たリアリストのタイピンです。ウチでプロジェクターやった時だったかな、その後にハッセル2台達人を囲むときだったかな、リアリストファンのひとりから頂いたものです。その節はありがとう。やはり15年くらい前だと思う。本国ではこういうものを作っていたのだね。そういえば、ニコンなどでも見たことがある。ニコンが真似か、それとも誰でも考える普遍的なものなのかな。

Imgp4983 そのときに、ワタクシが力説していたことですが。みなさんのカメラのホールディングは間違っている。人間工学から考えても正しいのはこれである。それが次の写真です。鏡で自画像撮影。賛同する方は名誉あるリアリスト同盟員として、いつでも、ことあるごとに主張し、また、実践しようとアジを飛ばしたが、立ち消えになってしまっている。アジ演説が下手なのかアジテーターとしての能力不足か。挑発主義、冒険主義は難しいばかりではなく、やはり危険思想なのか。

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2008年2月 5日 (火)

一眼レフレンズのステレオビューアー補足

レトロフォーカスレンズはミラーの距離をかせぐため、被写体側に凹レンズをかませているタイプであることはご存知の通り。それでなくては、35ミリから37ミリ程度のバックフォーカスがあるので28ミリレンズやそれ以下の超広角レンズは実現不可能。撮影時の方向のレンズ主点はフィルム面から28ミリの中空にあることになります。つまりレンズの外で、ミラーにかかるあたりにある。標準レンズは50ミリだから、フィルム側レンズ末端から約15ミリ中にあることになり、弱いレトロフォーカスとなっているはず。

フィルム側から平行光線が来た場合、つまり撮影時とは逆の場合ですが、そこからさらに50ミリ先の場所が焦点となる。で、フィルム側からルーペとして見る場合は50ミリより少し短い距離にあることが必要。それがペンタックス1.4の場合、ちょうどレンズの前端あたりになる。55ミリ1.8の場合は約5ミリ前方となる。で、フィルター2枚から3枚の位置。その人の視力による個人差でその前後の誤差は多分あるだろう。反対側の被写体方向から見た場合はフィルム側レンズ末端から35ミリ弱、すなわちフィルム位置となるのはお分かりですね。

Img_2221 Img_2223 実は、標準レンズをルーペにするアダプターの製品があるのです。フィルム側のレンズマウントに装着します。写真を見たら一目瞭然。15年くらい前だったかな、カメラ店で売っていました。なるほど、なるほど、こういうものが製品化されたのだな、あっぱれだな、クリーンヒットだな、とワタクシ的には感動ものでした。優れものです。でもどうも、感動した人間はそれほどいないようで、あまり話題にもなりませんでした。知らない人はまったく知らない。当時、ニコンF3がメインで、引き続きニコンのオートフォーカスに移行するころでしたので、ニImg_2222 コンマウント用を買いました。高性能ポジビューアーとして便利にして使っていました。いつでも買えると思っていたら、消えてしまった。あーあ、4個くらい買っておけば良かった。マウントキャップを利用して作れないことはない。ただ被写体側から見ると、画面が小さくなって、フルサイズは見ることが出来ない。同じレンズが方向を違えると見える範囲が異なる理由は両端の有効口径の違いだと思われるが理論的確証はない。

もうひとつは別のことですが。広角レンズで撮影した写真を標準レンズの画角で鑑賞してはいけない。本当は同じ画角で鑑賞しなければいけないという原則、ご存知ですか。目を近くして、つまり広角画角で見ないと、中心は良くても周辺は歪みが必然的に出ます。これは糸巻き歪曲となる。広角画角の鑑賞ということはどういう見方をするかというと、極端にいうと、目玉グリグリの視線をめぐらす。グリグリの斜め視線で周辺を見れば、歪曲はありません。広角レンズが遠近感を誇張することも同じことです。撮影レンズと同じ画角で鑑賞すれば遠近感の誇張はありません。ワタクシは広角レンズはあまり使いません。標準レンズ主義です。人間が見る画角、注視する画角、無理なく全体を見る画角はすなわち標準レンズの画角だからです。あくまでも原則は撮影レンズと鑑賞レンズは同じ画角で見るということです。裸眼の鑑賞でも同様の画角です。横1mの絵画を50cmから見るのは特殊な場合であることは分かりますよね。

Img_2226 引き伸ばしレンズの75ミリというのが1個ありまして、ルーペとして見てみました。3.3倍ということになります。ライカ判フルサイズが中央にやや小さく見えます。75ミリ離れているから当然ですが。66判の標準レンズくらいかな。横60ミリにライカ判横36ミリですから。左右12ミリ空きの比率です。しかし見え味が良いのです。4倍ルーペの製品でも評判の良い製品がありますが、倍率の低いルーペが穏やかに見えて良いのかなあと思ったりします。お値段、性能ともに良いのはシュナイダーの6倍。中古のオークションで張ってみたらとてもダメでした。ステレオビューアーとして倍率はどのくらいが良いのか、いまだに分かりません。

Img_2233 次の写真はフルサイズステレオビューアーのおなじみの普及製品で距離を測ると単玉50ミリレンズですが、かなりの糸巻歪曲があります。また、視野はギリギリフルサイズあるかないか。つまり普及品としてそれなりです。

最後ですが、暗い写真はライカマウントのキヤノン50ミリ1.8です。これのレンズフードの距離がちょうどよく、そのままフィルム側からルーペになります。多分どちら方向でもあまり差異はないはずです。手ごろな距離でルーペになるでしょう。これだったら、ロシアの1.4レンズ2個入手しようかな。

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2008年2月 2日 (土)

一眼レフレンズのステレオビューアー

撮影レンズと同じ焦点距離のレンズ、というよりも同じ画角のレンズで見ると同じ範囲を見ることができるはず。でも、どうも少し違う場合もあるようだ。明視の距離25cmを焦点距離で割ると倍率が出る。5cmは5倍のビューアーとなる。でも8倍でライカ判フルサイズが見えるルーペもある。ニコンの8倍ルーペ。どういうこと。多分レンズの口径が大きくて目玉をグリグリ回すのだろうと想像する。25を8で割ると、約31ミリ。35ミリレンズが標準のリアリスト判では広い画面の中央にあるので目玉グリグリ不用で、フルサイズはグリグリによって可というのかな。ニコンの8倍ルーペは持っていない。でもピークの8倍ルーペ2個で作ったImg_2202 Img_2203 Img_2183 フルサイズステレオビューアーがある。たしかにフルサイズが見える。しかし、糸巻き歪曲が出ている。レンズ構成は凸レンズを対物として、27ミリ口径の色消し接眼レンズの2群3枚。低価格のルーペである。15年くらい前にウチの磯釣クラブの先輩に作り方を教えてもらって、その通りに作った。その人はかなり昔に引退した。最初は知らなかったが、まさか、、、その先輩がステレオ写真をやっているなんてことが分かっImg_2181 て驚いた。ワタクシより数段泥沼の人である。主なものだけで、リアリストからウォーレンサック、ベラスコープ、ベルプラスカ、フェドを使い、このあたりはまあよくあることだが、2台方式に信念があって、ローライの35ミリの小型ハッセルみたいな一眼レフから、マミヤ645、ハッセル2台まで、同じスタイルのステレオをやっていた。ローライのSLなんとかというのは普通の人は知らないだろうな。そうだった、ハッセル2台のものすごい達人をもう一人知っている。これは後日、また。知る人は知る、達人だ。

Img_2185 Img_2186 Img_2206 Img_2192 ルーペに戻って。接眼レンズの口径が大きくないと良くないであろうと想像がつく。かなり昔だが、ん、ん、んと思いついたのは、50ミリのガウスタイプの大口径撮影レンズを2本使えば何の文句はないだろうということ。でも、一眼レフはミラーの関係でバックフォーカスを取る必要からレトロフォーカスになっているのは大抵の人は知っていますよね。だいたい35ミリから37ミリのバックフォーカス。さらに、後ろから平行光線が入った場合の主点は前側主点という。通常の被写体から入った平行光線の場合は後ろ側主点といって、かなりズレている。ペンタックスはフイルム側から覘くとルーペになることが分かった。50ミリ1.4はフィルターなしで見え、55ミリ1.8はフィルター2枚から3枚かますと見える。ワタクシは0.6くらいの弱い近眼のまま、老眼が入っているから、目が良い人はどうなるか分からない。写真のようにkmマウントでも同じ。あ、1.4レンズは放射能レンズですから、心配な人はkm時代のものか1.8の方が良いと思います。1.8も弱い放射能ものがあります。1.8の方がなぜか見え味がいいように感じる。

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ステレオビューアー雑感

ちょっと、ステレオビューアーに関して当ブログのコラルドーフィルムアドバンスシステムのコメントでいくつか書きました。掲示板と違うのでさらにコメントでぶら下げて、長くするのも変なので、とりあえずビューアーの1回目として補足的に書きます。以後は断片的に何回かそのうちに。このテーマは奥が深くて、しかも泥沼のような難解さもあり、光学関係の専門家以外はよく分からないところもあります。ワタクシはいまだ暗中模索です。ひとつはビューアーの性能。写真の撮影レンズの性能や、いわゆるレンズの切れ味というものは古今東西ああでもない、こうでもないと論じられてきました。ところが、ステレオビューアーではほとんど論じられていない。ところが、ポジビューアーでは多少は論じられている。たとえば、下のルーペ比較テスト。残存収差以外に抜けの良さ、解像力などいろいろあります。

http://paul-inoue.web.infoseek.co.jp/lupe/test.htm

また、星見屋さんたち、天文愛好家ですが、アイピースにはそうとううるさい人がいる。これがまたかなり難しい専門用語が続出している。昔、高級アイピース2本で作ったステレオビューアーを見るとあまりのクリアーで腰が抜けるという記事を読んだ。これは以後、強迫観念のように頭にこびりついている。探したが、どこで誰が書いたのか見つけることができない。

アイピースに関してはネットをググルとそれこそ、いくらでも出てきます。解説もあふれている。

ルーペ、ビューアーというのは拡大鏡であり、最も簡単なものは虫眼鏡。写真撮影レンズの働きも一枚の凸レンズと同じ。何群何枚という分厚いレンズでも理論的には一枚の凸レンズとみなして計算できる。焦点距離が25cmより短いレンズでは、焦点距離より近くにある物体は大きな正立虚像として見える。25cmは明視の距離。これは中学の理科ですが、だいたい誰も忘れているはず。ところが、ワタクシはレンズのあれこれや、歴史的な性能競争や進歩に興味があって、入門書から専門書を何冊も読んで、あるいはながめて、残念ながらきれいさっぱり右から左に抜けてしまっている経験だけはあるのです。

これは、とほほ経験です。まさに間抜けな行為だが、これをレンズ沼にはまるといいます。しかし、どっぷりつかるのは怖くて、一番基本であるお金もないので、ほとんど沼には入らず、泥をかぶってはおりません。キッパリ。ですからいわゆるマニアの予備軍程度です。でも、7冊から8冊くらい読みました。本の値段なんて安いものです。さっぱり分からないレンズ設計者の教科書のようなものまでありますが。とりあえず定番の入門書だけ挙げます。

Img_2167 古典的光学教科書として、光学の知識、山田幸五郎著、東京電機大学出版局、1966年発行、定価2884円。90年の16刷。ステレオ写真も18ページくらいあります。一応学者の書いたものですから、他とは違うレベル、内容です。全体的には大学の理系教養課程程度かな。高校物理かも知れない。この本の源流は1925年岩波書店から発行された、光学の知識。1945年まで発行された定番。これを20年後の1966年に増補改訂版としたもの。流用している部分は古い図版も少なくない。でも、読んでいてたいへんおもしろい。なるほど、なるほどという気持ちで読んだ記憶が。

Img_2168 カメラマンのための写真レンズの科学、吉田正太郎著、地人書館、昭和54年発行、ウチのは平成6年の5刷。定価2060円。内容はかなり専門的で難しい。地人書館は天文書で知られてますね。

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2008年1月18日 (金)

コラルドーフィルムアドバンスシステム

なんとか分かりました。ネットでググると想像していた通り。以前は目がすべっていいかげんに調べたので見つからなかった。The Homéos was designed by LJE Colardeau and Jules Richardというのを見つけたのです。やはり設計した人物だった。さらに他の情報によると、リアリストにおけるDホワイト社と構想設計したシートンの関係のようなものだったことが分かりました。フランスのリシャール社におけるLJEコラルドーは該当のステレオカメラの実質的な開発設計責任者だと思います。コラルドーの設計による、初めての35ミリフィルムを使用するステレオカメラであったホメオス。ホメオスというカメラは一応よく知られています。ステレオ本を見ると必ず出てきます。このカメラのフィルム送りシステムがコラルドーの名前を取って命名されたものということのようです。

2_edited1 パリのリシャール社のホメオスは1913年に特許を取り、1920年に生産された。第一次世界戦争をはさんでいるのかな。フォーマットは24x18のハーフサイズでfixed 8 perforationSTREO CAMERA SINCE1930に書かれている。いままで、この本でコラルドーフィルムアドバンスシステムという言葉にお目にかかったのみで、他では目にしたことがなかった。少なくとも、日本の文献にはない。誰も、どこにも言及していない。レンズの基線長は57ミリ。使用フィルムは映画フィルムとあるのが時代を示している。フォーマットは横送りのシネ判というべきでしょう。このカメラは固定焦点の28ミリf4.5のテッサーレンズ。それにしても、このデザインはというと凄すぎていますね。これは海外のネットにあった写真を拾いました。他にもいくつかの書物の印刷写真ではホメオスがあるのですが。うーーんと、ちょっと検証。たしか1パーフォレーションで4.75ミリ進行だから、8パーフォレーションは38ミリです。57ミリは12パーフォレーション。つまり、2駒送りで基線長は3駒分というのがコレルドーシステムで、これが、あらら不思議という天然自然の驚異の真理発見応用に思える。単純であるが、真理発見応用の特許に思える。おおげさかな。ギリシャで真理が明らかにされた幾何学の驚異と同じように感じる。お前だけだって。そうかな。感じない人は感じない。それだけ。

で、カメラによってフレーム間のスペースが大きい場合は多少の誤差がある場合もある。ホメオスの場合、横18ミリフォーマットで各フレーム1mmのスペースがあるようだ。

他にリシャールだけでも書くことはいくつかあります。が、いつかまた改めます。

と、まあ、それから、この当時のステレオ写真の状況に思いを馳せる必要もあるだろう。いや、ないって、、、。そういわないで。でも、少なくとも小生はたいへん興味があります。かの有名なクリスタルパレス以後、ロンドンステレオスコピック以後の展開。どういう状況だったのか。ま、いろいろな書物を読んだり、いろいろに調べたりしていますので、おおよそは想像できますけどね。これも、長くなるので改めてまとめる予定。

Img_2090 Img_2089 ともあれ、古いステレオカメラの解説では日本カメラ博物館の、パノラマ&ステレオカメラ展(1992年12月)が一番はっきりした印刷でしょう。解説記事は博物館運営委員会の専門家がかなり調べたのでしょうが、詳しい。ここは運営費からいって専従学芸員なんていないのじゃないかな。また、ここではフランImg_2093 ス読みでホメオスはオメオと記載されている。これが本当でしょう。リシャールとした場合はオメオ。Hを読んではいけない。ホメオスならリシャールではなくリチャード社。ここで採録されているのはステレオカメラでは74台です。博物館の収蔵品でしょう。他には、とりあえず引っ張り出したステレオのムック3冊。いずれも朝日ソノラマ発行です。

Img_2084Img_2086  昭和59年のカメラレビュー別冊、ステレオ写真の世界。ステレオ記事のバラエティではこれが一番豊富です。これには北野邦雄によるステレオカメラオンパレードがあり、歴史上のステレオカメラ75台が採録されている。Img_2083 次は1991年、クラカメ専科の17号、ステレオ写真への招待。これは、フォクトレンダーのすべて、という2本立ての特集ですからたいへんお値打ち品です。Img_2085 Img_2087 それからクラカメ専科の27号、ステレオワールド、これは、戦後フランスカメラの軌跡という2本立て特集。ステレオワールドには島和也による70台のステレオカメラが採録されている。カメラは同じのもあれば、他にないカメラもあってバラバラです。

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2008年1月11日 (金)

ステレオリアリストその1

Img_2058 Img_2059

最も好きなステレオカメラ。とにかく素晴らしい。写真は最初期ロットの機体で、シリアルはA2523のレンズはアイレックス・パラゴン付。多分、1947年製造だと思う。その後の他のレンズ付きもいくつか使っているが、最初期ロットのパラゴンの性能、描写はものすごく良い。これがトリプレットかと驚くほど。最初期生産型の外見上の特徴は後日。Img_2055

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設計したのはSeton Rochwite。シートン。動物記の人と同じ名前。ロックワイトという発音で良いのかな。2000年に亡くなった。これも後日書くつもり。この人はオスカー・バルナックと同様に直感ヒラメキというかアイデアの天才ではないかと思っている。彼は1943年、プロトタイプである自分のステレオカメラで撮影したカラースライドと自分で組み立てたステレオビューアーを持って、ミルウォーキーのデイビットホワイト社に行った。同年の9ヶ月後、ホワイト社は彼を採用し、ステレオリアリストは1947年に世に出ることになる。この経営陣も偉い。彼はカメラとビューアー、またリアリストのロゴマークもデザインした。アクセサリーその他必要な小物一式のセットを作り上げなければならない。新しいシステムをゼロから作るということである。後からみたら、なーんだという、コロンブスの卵かも知れない。先入観に捉われない素晴らしいデザインと発想があり、輝いている。

Img_2057 特筆すべきはアンダーファインダーである。驚き、感服した。我々は既成観念に生きている。顔面で額は最も広く平坦である。鼻は最も起伏がある部位である。なぜ、鼻位置にカメラを構えなければならないのか。やってみたら分かる。もちろん、座りの良い鼻、高くて鋭い鼻。いろいろあるだろう。安定が悪い部位にカメラを押し付け、たいていは流し目か、上目使いにならざるを得ない。15年くらい前、ネットでこれを力説したのは小生である。反応はいまいちであった。リアリスト愛好家でさえ、多少の共感程度であった。そして、使いにくいという評価が少なくなかった。

Img_2054 左指シャッター。これは釣りのリールハンドルの左巻き、右巻き論争に通じているからおもしろい。あ、一眼レフはファインダー下位置の額ホールドができるから、興味のある人はやってごらんなさい。これを見て、小さい子を連れた母親があの人はオカシイ、近くにいってはダメ、と手を引っ張るかも知れないが、どうしてくれるんだとかいう責任は取れない。

当時のカラースライドは多分コダクロームだと思うが、初めてステレオビューアーでカラーポジペアーを見た人間の驚愕はいかほどだったのかと想像するに余りある。しかしながら当時の状況は、キーストンのカラー印刷のステレオカードはポピュラーであったはずである。品質を問わなければ、一応カラーである。これらを現在の日本の社会常識から推察するのは難しい。ライカのステレオリーで撮影したカラーステレオポジマウントをビューアーで鑑賞していた人が戦前のアメリカでどのくらいいたのか。あまりにも霧が深すぎて日本では分からない。いやアメリカでも、細い迷路の先の先の世界だから普通ではほとんど分からないだろう。ステレオリーで撮影した昔の知り合いのポジをいくつかビューアーで見たことがあるが、すばらしかった。エルマーに装着したもの。この人はバルナックの長尺マガジンカメラを首からぶらさげていたことがあるほどの有名人であった。見る人が見ると、どぎもを抜かれ、腰を抜かす。ショートエルマーにもうるさかった人である。

レンズの基線長を決定し、連動したフィルム送りの基本設計は見事にまとまっている。今現在リアリストのシステムを理解しているので、なるほどな、という程度だが、まことに感服する。ステレオカメラを使っている人であっても理解していない人はなんだ、それは、、、という程度である。知らない人はもちろんまったく知らない世界。

フィルム送りは専門書によれば、Colardeau film advanceシステムと呼ばれる。コラルドーシステムって何だ、何者だ、いったい。昔も調べたことあるが、さっぱり分からない。グーグルでも分からない。なぜコラルドーと呼ばれるのか。人の名前なのか、システムを命名したのか。フランスのリシャール社に関わるらしいことだけは専門書で推定できる。EAUはオーでフランス語ということはつたない常識でも分かる。ともあれ、リアリストのフィルム送りはfixed 10 perforationと呼ばれる。レンズの基線長は15 perforatioとなり、1フレームは5 perforation5 perforationカメラと呼ぶこともある。

概念図は次の通り。フィルムの各フレームを1から9までとして。左駒をl、右駒をrとすると。

1・2・3・4・5・6・7・8・9・10

l @ @ r (1回目撮影、1L.4R @は空白)

    l @ @ r (2回目撮影、3L.6R

        l @ @ r (3回目撮影、5L.8R

            l @ @ r (4回目撮影、7L.10R

中2フレームの2フレームりですべて解決。改行でバラバラになっているかも知れない。最初と最後のひとつ前のフレームだけ空白となるが、すべて無駄なく、うまく送られる。これ以外の送りでは二重露光になってしまう。中1フレームの1フレーム送りの場合、1・3、次の撮影は2・4のペアだが、その次は、3・5となって、3は二重露光となってしまう。以後全部二重になる。

    

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2008年1月 3日 (木)

ペンタックスが立派な理由

ペンタックスは、ある点において企業姿勢が非常に良い。たいへん立派であり、高く評価できる。他社とはまるで違う。グレーゾーンがどうこうではなく、決定的に白と黒ほど違う。たいていの写真関係、カメラ関係の識者がほとんど指摘していないことだ。日本の一眼レフのパイオニアで、現在に続くカメラ作りを切り開いてきたからですか。うん、それもたしかにあるが違うこと。実質内容重視で、小型コンパクト性を重視して、使いやすく、はったりのない良心的な性能のカメラやレンズ作りの姿勢ですか。それもあるが違う。え、日本のカメラメーカーでは唯一の重要ポイントですか、なんだろう。ただし、日本のカメラメーカーでは他に若干の例外はある。例外って、どこですか。ニコンとその他若干だ。あ、リコーもその昔は僅かにかすったことがあり惜しい。あとは古い小西六時代のコニカね。富士写真フィルムはかすっている。その他はすべてダメといえばダメ、ダメ。

外国の有名カメラメーカーに目を移し、過去の歴史にまで遡ってみると。ライカはさすがだし、過去のコンタックスも立派、エキザクタは合格、敬愛するフォクトレンデルやローライは源流に加わったといっても良いくらい。往年のアメリカのカメラメーカーとしてのコダックも合格。ロシアメーカーだって健闘している。

うーん、難しいね。よく分からない。何でしょうか。何で分からないの、これだけヒントが出ているじゃないの。写真の門外漢にはさっぱり分からなくても仕方が無いけれども、そうではないと少なからず自負していらっしゃる方はすぐに分からないとダメです。ん、ん、写真の歴史にも関心があって、少なからず知識造詣があると思っていらっしゃるあなたに教えましょう。

それはステレオ写真に関わっているかどうかです。ニコンはS型の時代にステマータイプのステレオレンズを作った。試作品に毛の生えたような生産で、もしも出物があれば天文学的な価格が付くことは間違いがない。リコーは試作品を作ったことがある。小西六は大昔にステレオカメラを生産していた。富士写真フィルムはレンズ付フィルムのステレオアタッチメントを作ったことがある。その他、その昔の中小メーカーは若干の事例があり、最近ではホースマンがステマータイプの現行品を作っているとか。欲しいけど60万円くらいするらしい。ライカはステレオリーとステマーがある。きりがないので以下省略。ステレオ写真を写真企業として、どう認識していたかという問題である。

ペンタックスにはフィルムカメラ時代にビームスプリッターと呼ばれるステレオアタッチメントがあった。ライカではステレオリーがこれにあたる。ポジカラーを見るステレオビューアーとセットであった。

ところが、最近、デジタル一眼用にステレオアタッチメントを再発売したという。え、そうなの、素晴らしいじゃないか、この姿勢。まことに尊敬ものだ。ステレオ写真の意義を正しく認識している。ペンタックスのコンパクトデジカメにもステレオ写真機能が付いていたそうだ。ウチの娘が以前使っていた。

で、フィルム時代のペンタックスステレオアタッチメントを当然持っているのだが、デジタル一眼時代の再発売ステレオアタッチメントをヨドバシカメラで購入してきた。ペンタックスのステレオアダプターと店員さんにいったら、スパっと出てきたよ。合格。ほとんど同一製品だが、カラーポジ用のビューアーの代わりに紙焼き用の簡便ビューアーが付いている。デジタル一眼ではポジフィルムは鑑賞できないもんね。ビームスプリッターはロシア製品と国産ライカレンズ用もあるのでまた後日アップする。でも、作例の画像がいままでないじゃないの。このブログの最初のころ、横浜の巨人の目だけで以後はぱったり。パソコン画面でサイズをどうしたらよいのか試行錯誤でした。古いフィルムスキャナーでは転換がものすごく面倒になっているのです。他の人のステレオ写真のホームページを参考にしてやってみます。ホームズ式ステレオスコープはデジカメ一眼のステレオで撮影すべきだったな。フィルム時代のものでも当然デジカメ一眼で使えます。

Img_2025 Img_2024 Img_2026 Img_2027

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